特集:b-flower『純真』レビュー


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今こそ、広く深く聴かれるべき彼らの歌



雲の切れ間に、まるで真夏のような水色の空がみえた初夏の或る日。
シュガーフロストプロジェクト第2弾としてアナログ盤でリリースされるb-flowerの曲を聴く。

まず、新曲「純真」

曖昧さも逃げ道もまるでないあまりにも純で、真っ直ぐすぎるラブソング。
清らかなメロディとけがれなき声で唄われるきみへの憶い。
さらに、聴き手の耳も心もとろけさせる丁寧で優しく美しいストリングスの音色のたまらないこと。

誰かのため 生きてゆくんだよって 一度くらい言ってみたいよな

かつてこのような詩を綴った口にした孤高の音楽詩人が紡いだこの曲をもしもあなたが聴いたなら。
きっと、メロディや詩、演奏や編曲などすべての要素が絶妙なバランスで鳴らされてしまったこの曲に、その耳と心をおおきく揺さぶられずにはいられないことでしょう。

そして93年メジャー初のシングル「舟」のセルフカバー。

本格的なバンドの再始動という帆を上げて、

再びその舟を漕ぎ始めた彼らの心意気が伝わってくる決意の唄。
編曲面でいえば劇的な変化はないにも関わらず、彼ら本来の魅力である繊細さはそのままに、

今の彼ら故の力強さをも感じとることができます。

彼らの歌を聴きながら、時に夜を飛び越え、時に雨をやりすごしながら、

地図を持たずに人生という名の流れに永いこと身をまかせてきた僕ら。
そして、これからはじめて彼らの音楽に出会う人たちにも同じように新鮮に響き伝わる音楽の架け橋のようなこの2曲。
聴き逃すのは正味の話、ちょっと(いやかなり)もったいないことだと、そう僕は思うのです。


明山真吾

ムクドリの会


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