特集:b-flower『純真』レビュー


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枯れないネオアコ

 

 

永遠の59秒目 動物園へ行こうよに続く3曲目のセルフカバー。オリジナルは93年アルバムWorld's End Laundryに収録(後にシングルカット)された楽曲。前2曲のセルフカバーと同様、オリジナルに忠実なアレンジながらも大人になり成長を伺わせる演奏と歌声を聴く事が出来る。

 

一聴して感じるはそこに尽きるのだが(前2作のセルフカバーにも共通して言えることとして)曲全体から伝わってくるネオアコ然とした蒼さが全く色褪せていないのだ。むしろ年輪を重ねたことで余分な贅肉が削ぎ取られ蒼さそのものがハッキリ浮き彫りになる、そんな印象を受ける。

 

青春のとかキラキラしたなどど形容されるネオアコを取り巻くイメージ。孤高と言われるb-flowerもそんな様式の中、独自の世界観を持って確固たる地位を確立してきた。そして復活以降、成長と進化の表れが確実にその作品に反映されている。単純に語り尽くすことの出来ない純粋無垢で希有な存在として。現在進行形の生きるバンドとして。

 

純真が指し示すひとすじの光。

そこを目指しは旅立つ。

古い舟を動かすのは古い水夫ではないかもしれない。だが古い水夫は新しい海の怖さを理解しているからこそ新しい航海の方法を丹念に追求しじっくりとそして力強く歩み始められるのだと思う。

 

2015年、八野英史とバンドの描くヴィジョン、つまらない大人になることから始まった新たなる旅立ちは、向かうべき未来を明確に示し始めたような気がする。唯一無二な存在として、彼らの存在こそがこの絶望的な現代のひとすじの光と成り得ると確信する。


高田博之

ムクドリの会


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