特集:b-flower『純真』レビュー


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結晶のように美しく繊細でタフな音楽



胸を高鳴らせてレコードに針を落としました。

なんせ、b-flowerの新曲で7インチシングルですから、もうそわそわしてしまいましたが、曲に耳を傾けるとどうでしょう、ストリングスに寄り添いながら花がひらひらと舞うようなイメージが現れました。

叙事詩ではなく、誓いを立てるかのような告白のラブソングですが、そのせいかイメージをかきたてるのはただただ美しい演奏と天使のような八野氏の声です。

純粋で透明感に溢れていると同時に存在感が抜群にある唯一無二の声です。柔らかいけれど確実に強さを増して、じっくりと煮込んだスープのようなこくがあるではありませんか。素晴らしい。血液となって身体中を巡っていくはずです。

これだけ混じりッけなしの感情を表現するのにぴったりの楽曲を聴けたことを感謝します。

レコードで聴くバンドサウンドは最高です。CD はお話にならないほど生命感溢れる音を空気に響かせてくれます。隙がない静かな侍のようなバンドアンサンブル。落ち着いているようで闘志がみなぎっています。熱いと同時に冷たくもある絶妙な温度感です。

アートワークも含めて至上の歓びを与えてくれました。クラフト紙でできたスリーブの版画と歌詞カードのデザイン、おまけのバッチもキュートです。そしてこの7インチはずっしりとした重みがあり、上質なものであることを物語っています。

誰も知らないような色の花を咲かせるb-flowerに蝶のような人びとが集っている様が目に浮かびます。

どちらも可憐ではかない存在ですが、厳しい世界を逞しく生きている。

ちなみに俺は傷だらけの野犬のようなので中へ入りづらいです。今は匂いをかいでます。

いろいろあるからすいすいと進めなくても、心意気は真っ直ぐに。

たどり着く場所に優しさと慈愛を持って、悲しみを乗り越えた人びとがいますように。

もしいなければ逃げても良いだろうし、ワイルドサイドを行っても良いし、ふて寝をすれば良い。きっと冬眠したら、むくむくと闘いたくなるだろうな。たとえ独りでも。

このレコードは卑怯な手を使わずに闘う美しい戦士たちの記録です。

wefreerings


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