特集:b-flower『純真』レビュー


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純真について



わたしは鼻が悪いです。


常に片方の鼻が詰まっていて、ごく稀に両方通る瞬間が訪れれば

「みんなこんなにラクに息をしているのか!」

と感動するほど鼻が悪いのです。
だからか香りには敏感で、

色々なものからいつも香りを感じようとしてしまいます。

音楽からも同じく。

『純真』を聴いた時、これまで音楽では嗅ぎ取った事のない香りがしたのです。

でも何かは判らない。
安心するような、懐かしいような。

食べ物?違うな。あれでもない、これでもない。

何度も聴いて、ずっと考えて、ようやく判りました。


これ、好きな人の香り。
恋人や家族、とても親しかったり愛おしかったりする人の香り!

そう、はちのさんが言葉にして歌っていらっしゃる通りの。

b-flowerは小さくても大切にしておきたいことを音楽にしてきたバンドだと思っています。

この曲はその中でも、とてもとても繊細で

注意深く意識していないと逃してしまうくらいの感触を、

的確な言葉で、心地良いメロディに乗せて、うっとりするような音で奏でてくれています。

先にも書きましたが、『純真』はこれまでわたしが音楽から嗅ぎ取った事のない香りをまとった曲です。

この発見はbの音に初めて触れた時の新鮮さと驚き、あの感覚と同じように、

ずっと忘れることは無いと思います。


しょう


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