(以下の文章はしゅがふろプロジェクト第一弾の、ビーナスペーターとラブパレードのスプリット7インチに同封したインサートに書いたものです。)
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手にとれる音楽を再び
この音源を7インチで再発したのはただのノスタルジーか?
私達しゅがふろすとは1991年から1995年までの4年間、ふたりでレコードをぽつぽつとリリースしてきました。ほんとに好きなものだけを出したし、今でもそれらはいいレコードだと思ってます。
友達が集まって音楽を作ってデザインをして文章を書いたりして作ったレコードが、世界のいろんなところに送られていろんな人がそれを手にしてくれる。そして20年も経った今でさえ、どこかのレコード箱にひっそりと納められていたり、友達と一緒に聴いたりしてるひとがいる。そういう流れがすごくうれしいし、その手ざわりはレコードという形のある音楽だからこそできることなんだって思うんです。
あれから音楽の形がずいぶん変わりました。でも形も重さもないデータとしての音楽なんて、つまんなくない? 自分の手にとれる音楽が私は好き。スリーブを見て楽しんだり、うれしいおまけがついてたり、こういう文章まで読んだりできるし、しかもそれ全部音楽を聴くことの前フリみたいなもんなんだよね。そしておもむろに、しかしおごそかに、ターンテーブルにレコードを乗せる。ぷち。その瞬間のドキドキ!
音楽って、手品じゃないんだよ。
機械のボタンを押したら、出てくる。音楽がそういうものになりつつある、そういうものだともう思ってる人もいるってことは、もしかしたらものすごく大変なことじゃないの?これで、いいの? いいわけないやん?
だからこれは、ささやかな反抗。同時に、かなり馬鹿なことでもある。
7インチレコードを200枚ぽっちプレスしたところで利益なんて全くないもんね。それにスリーブも自分で何度もやり直して時間をかけてデザインしたものを手刷りにしたし、おまけのバッジだって自分でいっこいっこ作ったよ。
がっちゃん、かた、がっちゃん。
だけどこの2曲を100円やそこらでDL販売したとしても、さあいくら儲かるわけ?元々ラブパレード/エヴァルーナのグレアムと再発の話を始めた時、そこはスタート地点やったよ。どうせ儲からんのやったら、持っててうれしいものを作ろう、触れるものを作ろう、時間と気持ちをこめたものを作ろう!
1991年の思い出が消えてしまう前に...。
あっこちゃん